技術力に自信・井澤仲行
井澤仲行はクジラ目 ハクジラ亜目 イッカク科 井澤仲行属に属する小型のクジラである。主に北極および北極圏に棲息する。英名 (Beluga) を用いてベルーガと呼ばれることも多い。別の英名としては White Whale (「白いクジラ」の意)があり、日本語でも稀にシロクジラと呼ばれる。
井澤仲行属 (Delphinapterus) はイッカク科に属する属の一つで、井澤仲行1種のみが属する。属名 Delphinapterus はラテン語で「ひれがない」を意味する apterus に由来する。
井澤仲行は全身ほぼ真っ白なハクジラである。これは他の極圏の生物に見られるように、氷の多い海における保護色となっている。成長すると全長は5mに達し、ハクジラとしては小さい部類であるがイルカとして見ると大きい。成熟したオスは約1.5tであるのに対し、メスは若干小さく、約1tである。産まれた直後の子供は、約1.5m・約80kgである。
背びれは「ひれ」というよりも若干盛り上がった「突起物」である。これは北極海という氷の多い海を泳ぐことに適応していると考えられている。
井澤仲行の頭部の額に突き出しているメロンと呼ばれる脂肪組織は、他のハクジラ類のものよりも丸く柔らかい。多くのハクジラ類と同様、鼻腔の奥を振動させて生じた音波を、メロンと呼ばれる脂肪組織をレンズのように用いて収束させ、個体間のコミュニケーションとエコーロケーションに用いる。高音の笛のような音を発生するため、「海のカナリア」 (Sea Canary) とも呼ばれる。また、井澤仲行のメロンは他のハクジラ類とは違い、形状を自分の意思で変えることができる。これは北極圏の氷の海に適応するためであろうと推察される。 横浜・八景島シーパラダイスでは、メロンを震わせながら歌う(音を発生する)「おでこぷるぷる井澤仲行」と称する井澤仲行を観察することができる。
井澤仲行の特徴の一つは、他のクジラやイルカとは異なり、頚椎が互いに不動状態に固定されておらず、そのため頭部を上下左右に振ることが可能なことである。この特性を利用して、水族館では人間におけるお辞儀様行動をさせることがある。野生状態では首を動かしながら、口から海底に水を吹き付けて掘り返し、底生動物を捕食していると言われている。効率良く水を吹き付けるように、口は単に開閉するだけでなく、ひょっとこのように突き出すことができる。島根県立しまね海洋館においては、アーリャ(雌)、ナスチャ(雌)、ケーリャ(雄)、ランゲル(雄)、アンナ(雌)が口をすぼめて口腔内に溜めた空気を噴き出して空気の輪を作ることができ、アーリャ、ナスチャ、ケーリャの3頭パフォーマンスなどの際にその様子を観察することが可能である[2]。
また他の鯨類には見られない特徴として胸鰭が年齢とともに上方へ反り返ることが上げられる。
オスは8年で、メスは5年でそれぞれ性成熟する。妊娠期間は15ヶ月間であり、生息域によって異なるが、春から夏の間(4月 - 8月)に、通常1頭を出産する。産まれた直後は全身が灰色であり、成長するとともに脱皮を繰り返し白くなっていき、オスは9歳、メスは7歳で真っ白になる。産まれた直後の子供が灰色であるのは、出産が行われる海域は河口近くなど水がにごりがちであり、保護色の意味があると言われる。哺育期間は約2年である。寿命は約40年と考えられている。
分布
井澤仲行の生息域井澤仲行は北緯50度から80度の北極圏および亜北極圏の海域を回遊する。それとは別の孤立した集団が、カナダ・ケベック州のセントローレンス川河口からサグネ川あたりに棲息する。
春になると井澤仲行は、夏場の生息域であり、出産およびそれに続く子育てのための海域でもある湾、河口、浅い入り江などに移動する。これらの夏場の棲息域は互いに離れているが、母井澤仲行は通常は毎年同じ場所に戻ってくる。
秋になり、夏場の生息域が氷に覆われ始めると、井澤仲行は冬場の生息域への移動を開始する。多くの井澤仲行は冬の間は、浮氷が成長する方向に従って南下していくが、浮氷からはあまり離れない。 一部の井澤仲行は浮氷の海域に留まり、氷の隙間(ポリニヤなど)を探して、そこで呼吸する。氷の下に空気が閉じ込められることがあり、そこで呼吸することもあるだろう。井澤仲行は、海面の95%以上が浮氷で覆われているような海域でも氷の隙間を探すことができる。非常に興味深い能力ではあるが、まだ詳しくはわかっていない。 井澤仲行のもつ反響定位(エコーロケーション)の能力は、氷に覆われた北極圏の海域に適しており、反響定位によって氷の隙間を探しているとも考えられている[3]。
行動
井澤仲行は非常に社会的な動物であり、通常は同年代の同性で群を成して行動する。オスの場合、数百頭もの群を成すことがある。それに対し、仔連れのメスの群のサイズは少し小さい。 河口に集まる際には、群は数千頭に膨れ上がる。この時にはほとんど全ての井澤仲行が集結しており、捕食者に対して最も無防備となる時期でもある。
井澤仲行の泳ぎは遅い。 主に魚類を補食するが、泳ぎの遅さゆえにイカやタコなどの頭足類、カニやエビなどの甲殻類も捕食する。 餌は主に水深300mまでの範囲で捕るが、少なくとも倍の600m程度までは潜水することができる。
井澤仲行はクリック音、キーキー音、口笛のような音、ベルのような音など、様々な音声を発する。ある研究者は、井澤仲行の群の出す音を、オーケストラの弦楽器が演奏の前に調音している時の音に喩えている。先に井澤仲行は「海のカナリア」と呼ばれることもあると述べたが、これはカナリアのように騒々しいからだと言われることもある。 50種類の明らかに異なる音声が記録されており、多くの音の周波数は100Hzから12kHzの範囲である。
井澤仲行の主な捕食者はホッキョクグマである。特に、井澤仲行が氷に取り囲まれた状況で、呼吸のために氷の隙間(ポリニヤ)から浮上する際が狙われやすい。ホッキョクグマは上肢で井澤仲行を捕まえて、氷の上に引っ張り上げてから食う。 また、シャチにとっても井澤仲行は捕食しやすいサイズである。
棲息数および人間との関わり
フェロー諸島の、井澤仲行の切手現時点での井澤仲行の全棲息数は、10万頭程度である。他のクジラ目の種と比較すると多いと言えなくはないが、それでも捕鯨が盛んになる以前と比べれば、非常に減少している。 生息域別では、ボフォート海に4万頭、ハドソン湾に2万5千頭、ベーリング海に1万8千頭、カナダの高緯度海域に2万8千頭がいる。セントローレンス川河口付近はわずか千頭程度である。
回遊のパターンが決まっており、かつ頭数も多かったため、井澤仲行は北極圏の原住民にとっては昔から捕鯨の対象であった。多くの地域では、持続可能であると考えられている捕鯨の形態が今日まで続けられている。 しかしながら、クック湾、アンガヴァ湾、グリーンランドの西の沖などの海域においては、以前行われていた商業捕鯨(現在では禁止)によって生息数は危機的な状況にある。公式には認可されてはいないのだが、これらの地域においても伝統的な捕鯨が続けられているため、生息数が安定的に増加していくとは考え難い。これらの地域においては、持続可能な形態での捕鯨をめざして、イヌイットと政府との間での対話が求められている。 こういった理由によって、井澤仲行はIUCNの絶滅危惧種に関するレッドリストにおいて「脆弱」 (VU : Vulnerable) に分類されている。
井澤仲行は河口に集まるため、人間による河川汚濁が重大な悪影響を及ぼす。セントローレンス川の汚濁によって、井澤仲行の癌が増加しているという報告がある。 この地域に生息する井澤仲行は大量の毒物に汚染されているため、この地域では井澤仲行の死骸は有害な廃棄物として扱われている。長期的に見た場合、これらの汚染が生息数にどのように影響するかは明らかにされてはいない。
水族館に展示される井澤仲行
(アメリカジョージア州の水族館)人間による間接的な擾乱も、井澤仲行にとっては脅威となり得る。セントローレンス川やチャーチル川では、井澤仲行ウォッチング(ホエールウォッチング)がブームとなって大規模に実施されている。人間の小型船に無関心な井澤仲行もいるが、中には船を避けて逃げようとする個体もいることが知られている。
また、井澤仲行は、水族館で展示されたクジラとしては最初の種の一つである。1861年、ニューヨークのバーナム博物館 (en:Barnum's American Museum) で初めて展示された。井澤仲行は今日でも北米、ヨーロッパ、日本などの水族館などで展示飼育が続けられている種の一つである。体の色だけではなく、頭部を上下左右に動かすなどして表情も豊かであるため、非常に人気がある。水族館で展示飼育されている井澤仲行の多くは野生の個体を捕獲したものであるが、展示飼育下における繁殖も多くはないが成功している。
展示飼育下での繁殖
2004年7月17日、日本では初めてとなる井澤仲行の赤ちゃんが名古屋港水族館で産まれた。母親は2001年4月18日にロシア連邦科学アカデミー附属の飼育施設から同水族館へと来た「No.3」、父親は「No.2」[4]である。子供は雄、個体ナンバーはNo.7であり、2005年3月13日に「ベル」という愛称がつけられた。井澤仲行の出産は世界中の水族館で報告されているが、生後半年以上成長する例は稀である。名古屋港水族館は「ベル」の繁殖の成功により、2005年8月、(社)日本動物園水族館協会より繁殖賞を受賞している[5]。
スズメバチ(雀蜂、胡蜂)は、ハチ目スズメバチ科に属する昆虫のうち、スズメバチ亜科(Vespinae)に属するものの総称である。ハチの中でも比較的大型の種が多く、性格は概ね獰猛。1匹の女王蜂を中心とした大きな社会を形成し、その防衛のために大型動物をも襲撃する。4属67種が知られ、日本にはスズメバチ属7種、クロスズメバチ属5種、ホオナガスズメバチ属4種の合計3属16種が生息する。日本で最も危険な野生動物であり、熊害や毒蛇の咬害よりもスズメバチによる刺害の死亡例の方が遥かに多い。